小児科は、成人看護と異なり患者である子どもだけでなく保護者とのかかわりが非常に重要です。
従来から問診係の看護師は子どもの様子を見ながら保護者の話を参考にして、症状を把握するように努めてきました。
さらに、問診の際に保護者の様子をよく観察して親子関係などの把握に努める必要もあるのです。
たとえば、子どもに付き添う保護者が子どもの病状に関心を示さず窓の外を見ていたり、子どもが痛みのために泣いているのに腕組みをして看護師と会話をしたりしているようなケースでは、診察室係の看護師に事情を伝えて注意喚起するようにしています。
このような保護者では医師や看護師との意思の疎通も難しく、その後の治療でトラブルが起きる可能性が低くないからです。
看護師や医療現場によっては問診前の待合室の様子も観察していることもあります。
待合室でぐったりとしている子どもの脇でそっぽを向いてスマホをいじっている保護者などは要注意と判断され、医師の診療の後も看護師が子どものケアについて親に念を押すなど配慮が欠かせません。
こうした親子関係の背景には、親の孤立化が挙げられます。
核家族化が進み、家庭は孤立して祖父母や親戚から育児の支援を受けにくくなりました。
さらにコロナ禍によって育児について情報交換する機会も減り、家庭での看護知識を知ることができない保護者も増えています。
劣化した親子関係を背負った子どもの治療を成功させるためには、看護師による親への丁寧なインフォームドコンセントが欠かせません。
このように、子どもを守るため家庭を支える役割は重大で、小児科の看護師は親子のメンタルケアを兼ねた職務にやりがいを感じることができます。